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JIS盤用VCBの保守と更新 (第7回目:屋外用機器と屋内用機器)

第7回目の配信「屋外用機器と屋内用機器」です。

JRの駅のホームから線路の脇を見るとよく金網の箱に収納された以下の写真にあるような屋外用配電盤が見えますが、これは周囲を金網でしか保護していませんので、中に収納されている機器は全て屋外用機器であり、雨風にあたっても耐えられる物でなければなりません。
対して、JIS盤等に収納される機器は、箱体内に保護されている機器であり、全て屋内用機器となり、使用する際の周囲条件があります。
盤は屋外用であったとしても中に収納される機器は屋内用機器である訳です。
今回説明しているVCBも屋内用機器と定められており、湿度についていえば、45%から85%の範囲内で使われることが条件となります。
言い換えれば、湿度85%以上の環境で使用されたことで、絶縁劣化等の不具合が発生しても、メーカーは何も責任を負わないということになります。

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則武が全国を説明して回った際に、VCBは箱体内で使用されるのだから、雨風にさらされないというのは理解できるが、屋外盤の中で使われるのだから、外気は、当然箱体内に入ってくるはずであり、湿度を85%以下に抑えるのが屋内機器の使用条件というのはどうにも納得できないという方がいらっしゃいましたが、規格としてはこう定められています。
この講座では、こうした疑問に対する答えと対策は、第13回目くらいから、詳しく説明します。

1998~2000年頃ですが、日本中のJIS盤用VCBで、絶縁劣化による波及事故が相次いで発生し、その対策が急務とされた時期がありました。
重大な事故が類発しますと、その原因が機器本体の問題か、盤の構成上の問題か、据え付け工事の問題か、それともメンテナンスの問題かが、厳しく問われることになります。
則武は、当時JEMA(機器メーカの工業会)の委員とJSIA(配電盤メーカの工業会)委員の両方を担当していまして、この問題をどうにか調整しなければならない必要性に迫られておりました。
誤解を避け、正しい対処方法を説明するために、JEMAを代表して説明してまわらなければならない立場でしたが、実際に講演して回る際に説明に使用する資料をどうするかで、悩んでおりました。

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実際にJISキュービクル盤の中で発生した事故例の内容と対策を数多く調査した資料が、日本配電制御システム工業会(JSIA:JIS盤を実際に製造販売している盤メーカを中心とする社団法人)から発行されており、詳細な状況と具体的な対策の実例が細かく紹介されていますが、残念ながら、有料で販売されていた資料ですので、引用して具体的中身について紹介することはJSIA様が有する著作権を侵害してしまうという問題が生じます。

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JISキュービクル盤に限らず、JEM盤も含めて遮断器そのものが、外部環境から影響を受けて事故に発展する状況と対策を詳しく分析した資料として、日本電機工業会(JEMA)が発行する資料で、JEM-TR194があり、特に高圧機器が絶縁劣化に至るプロセスとメカニズムについて詳しく解説されていますが、これも有料で販売されていた資料のため、説明会で中身を紹介することは不可能ではないものの使用は困難でした。(中身が多岐にわたって説明されており、多すぎて説明時間がかかりすぎるという違った意味での問題もありました)
両方の資料を出席者に配布して、説明会を実施すれば、効果としては理想的ですが、最低でも2,500円/人の配布資料代が発生しますので、まずその費用を誰が負担するかという話になってしまいます。
手弁当で、説明して回るのが原則のこうした啓蒙活動ですので、資金的な面で、幅広いPR活動などとてもできないという状況でした。

当時、発生していた絶縁劣化事故の典型的な状況を、以下の図で紹介します。
ビルの屋上などにJIS盤が設置される際に、2本のコンクリートの直方体の上に設置する場合ですが、台風等で、その直方体の間に雨風が吹き込んで、上方に汚水を噴き上げるのですが、JIS盤の床には、換気のための穴が空いているので、汚水が盤内に侵入し、絶縁劣化となるものでした。正しい対策は、次回ご説明します。

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メールマガジンの、4回目~7回目の内容をYOUTUBE動画のVOL.2としてまとめておりますので、御覧ください。

https://youtu.be/-xCCsJuVNOw

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